米トランプ政権が、輸入車だけを対象にしたより厳しい環境規制を課す検討に入った模様だ。米紙ウォールストリート・ジャーナルが6日、政府関係者らの話として報じた。実現可能性は不明だが、導入されれば日本など外国メーカーには打撃になる。鉄鋼や中国製品に高関税を課すのに続く動きで、トランプ政権が保護主義的な姿勢を一層強めている表れといえそうだ。
報道によると、トランプ氏は環境保護局(EPA)や商務省などに対し、輸入車にだけ厳格な排ガス規制を課すための計画づくりを指示した。独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題を根拠に、規制を正当化する考えだという。
実現すれば、輸入車だけが規制対応の追加コストを負うことになり、米国内で生産された自動車に対して競争力がそがれることになる。自動車の米国への輸入を減らし、外国メーカーには米国内での生産拡大を促す狙いがありそうだ。
ただ、安全・環境規制などを理由とする「非関税障壁」は、これまでの貿易交渉で米国が日本などに対し撤廃を求めてきたものだ。米政権内でも慎重論があり、法的に可能か検討が進められている段階という。
米国とともに北米自由貿易協定(NAFTA)に加わるカナダやメキシコで生産された自動車の扱いも未定という。(ニューヨーク=江渕崇)