試合後、チームメートをねぎらうGK川島①や吉田(22)=長島一浩撮影
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サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会で、日本代表が2大会ぶりに決勝トーナメント(T)への進出を決めた。開幕前は1次リーグ(L)で厳しい結果に終わると見ていた担当者3人が、1次Lのポイントなどを振り返る。
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2018ワールドカップの試合日程・結果
大迫の体当たり、半端ない 藤木健記者
初戦のコロンビア戦、前半3分。FW大迫勇也のプレーが、大きな流れを引き寄せたと感じている。
W杯は何が起きるか分からない。「ましてや初戦ならあのブラジルだって緊張するだろうし」。4月にインタビューした大迫が言っていた。「だから初戦の立ち上がり。自分が体を張って味方を勇気づける」と。
FW大迫(15)=関田航撮影
その通り、気迫あふれる体当たりで球を収め、決定機を作った。結果、本当にあり得ないことが起きた。先制したPKにつながったうえ、相手選手がハンドで退場したのだから。
コロンビアが11人なら、日本が勝つ可能性はいまでも薄いと思う。退場した選手もW杯という舞台でなければ、あの時間に退場覚悟のプレーはしなかっただろう。そして、1次リーグ突破を左右したフェアプレーポイント。この試合で数的優位になって球を保持できたから、警告をもらわず済んだ面は多分にある。
3連敗。開幕前に持っていた私の見通しは外れた。こうなったら、半端ないほどに裏切り続けてほしい。(藤木健)
苦境変えた柴崎のロングパス 堤之剛記者
仮に1次リーグ初戦前に時計の針が戻っても、日本の決勝T進出はかなり厳しいと書く。それは、攻め手を欠いていたからだ。
この状況を劇的に変えたのは、MF柴崎岳だ。W杯前最後の親善試合・パラグアイ戦で西野朗監督就任以降では初めて先発した26歳。「どういう形であれ、出ると思っている。やってきたことを信じて自信をもってやることが大事」。W杯初戦を控え、実に落ち着いていたのが印象的だった。
セネガル戦でドリブルするMF柴崎
そして、背番号7の特長である「ロングパス」がチームに新たな攻め手を加えた。初戦のコロンビア戦。FIFAがロング、ミドル、ショートと区分して統計するパスの内訳で、チーム最多の7本のロングパスを記録。一気に前線へ長いボールを送り、状況を打開するダイナミックさが生まれた。セネガル戦の日本の1点目の起点となったDF長友佑都へのパスはこのたまものだ。
柴崎がポジションを手にしたのは、ショートパスが得意なMF大島僚太の負傷という面もある。決勝Tでは、同学年で持ち味の違う2人が同じピッチでプレーする姿が見たい。(堤之剛)
大事なのは年齢でなく結果 清水寿之記者
39歳の私を含め、世の“おっさん”たちは、ベテラン勢の活躍に胸を躍らせたのではないだろうか。中でも、「30代トリオ」は光っていた。
MF本田はいずれも途中出場の2試合で1得点1アシスト。そのゴールを生んだのは、FW岡崎が相手GKらと競り合い、つぶれた動きだった。DF長友は3試合にフル出場。チーム一の運動量で攻守に駆け回るこの「働き者」がいなければ、日本の決勝トーナメント進出はなかったろう。
DF長友佑都(右)=関田航撮影
組織の中で年月を重ねると、息苦しさを感じることがある。「もうそろそろ、若手に譲っては」。そんな言葉をかけられることも増えた。そういうものかな、と納得しそうな自分もいる。だが、大事なのは年齢で線を引くのではなく、どんな結果を残せるか。長友らの姿が、そう思い直させてくれる。
決勝Tで奮起を期待するのがチーム最年長35歳のGK川島。史上初の8強進出には守護神の力が必要だ。ベテランの経験力でチームに勢いを与えて欲しい。(清水寿之)