(22日、高校野球香川大会決勝 丸亀城西9―4高松)
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「高松のラッキーボーイ」は、決勝の日もちょっとついていた。
左翼手で7番打者の土田悠介(3年)は、この日が誕生日。二回の初打席に一塁側スタンドから聞こえてきたのは、いつもの応援歌ではなく、ハッピーバースデーの大合唱だった。
1死一、二塁。2球目が暴投になり、二、三塁と絶好機に変わった。3球目を振ると、ボールは近くでバウンド。遊ゴロに倒れたが、その間に三塁走者がかえり、先制点となった。
チームでは、いつでも大きな声で笑うムードメーカー。中学時代から一緒に野球をする遊撃手の森本寛道(同)は「ふざけてばかりだけど、勉強や野球のときは一生懸命」と話す。
今大会は、初戦に先制の本塁を踏み、2安打2打点。3回戦の高松商戦は九回、同点の足がかりをつくった。準決勝の観音寺一戦も、八回2死から同点となる2点三塁打を放った。
準決勝までの6打点はチーム一。ムードメーカーは、ラッキーボーイと呼ばれるようになった。「誕生日プレゼントは優勝旗やな」。前日、周りと冗談で話していた。
2点リードで迎えた六回の守備。相手打者の打球が、自分の頭を越えていった。左翼ポールを直撃する本塁打。これで同点とされた後も5点を加えられた。
九回の打席は、無死二塁で回ってきた。外角の直球をはじき返し、右翼線に飛ぶ安打に。しかし、続く打者3人が倒れ、試合は終了。自分が放った安打がチーム最後になった。
大会が終わった。やりたいことは決まっていないが、今は何にでもなれる気がしている。「最後の夏を通して、男の子から一人の男になれた」。優勝旗のプレゼントはもらえなかったが、得たものがある。=レクザム(森下裕介)