(23日、選抜高校野球 高松商8―0春日部共栄)
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地面すれすれまで上体を低くしてミットを構え、エースに球を要求した。「あいつは気持ちが高ぶりすぎると球が上ずる。だから、低く低くと」。五回2死一、三塁。高松商の捕手・新居(にい)の狙い通り、香川の直球がそのミットをたたく。黒川を見逃し三振に仕留め、ピンチを脱した。
カーブ、スライダー、スクリュー……。香川は5種類の変化球を操る左腕で、「どのサインを出すかめっちゃ迷います」と新居。捕手になり立ての1年の冬は、首を振られて怒られてばかりだった。それから1年あまり。配球の本を読んだり打者を研究したりするだけでなく、香川の性格を知るために授業中の様子や私生活にも目をこらした。
相手に的を絞らせないリードで13奪三振に導き、盗塁も二つ刺した。打撃で4安打したことより、うれしいのは完封勝ちだ。なにより、「サインにほとんど首を振られませんでしたからね」と笑った。(山口裕起)
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○香川(高) 序盤は変化球、途中からは直球主体で的を絞らせず。観察眼が光った。「自分で考えるようになり、投球の幅が広がった」