西日本豪雨では、山林から出た流木が住宅を襲い、川が氾濫(はんらん)する原因にもなった。山間部にはまだかなりの量の流木が残っているとみられ、専門家は「今後の台風や大雨により、再び流木が押し寄せる可能性がある」として、二次災害への注意を呼びかけている。
【特集】西日本豪雨
被災地のために今できること 西日本豪雨支援通信
斜面になお残る流木
人気の日本酒「獺祭(だっさい)」で知られる旭酒造の本社蔵がある山口県岩国市周東町。近くの東川が氾濫し、同酒造では機械や原料米が泥水につかった。その主な原因は、上流の山の斜面から出た流木だった。
山口大の赤松良久准教授(河川工学)が現地を調査したところ、東川にかかる橋の上流約200メートルで山の斜面が崩れ、大量の流木が橋脚に引っかかったことで、7月7日に氾濫が起きていた。
あふれた水は、下流にある市立周北小の校舎にも流れ込んだ。近くに住む林典子さん(62)は「自然の恵みである山の木々が、流木になると恐ろしいものになる……。怖さを初めて知った」と話す。
10日には広島県府中町でも、橋の付近に流木や土砂がたまり、榎(えのき)川が氾濫した。九州大の矢野真一郎教授(河川工学)によると、上流の「土砂ダム」が決壊した際に土砂とともに大量の流木が橋に押し寄せたのが原因とみられる。
矢野さんは、斜面崩壊が多数発生した広島県や岡山県などでは、今も多くの流木が山の斜面に残っていると指摘。「今後強い雨が降れば、流木が再び押し寄せて二次災害を起こす可能性がある」と話す。
■流木被害目立つ理…