西日本豪雨の被災地で、企業の支援が広がっている。義援金や自社製品を贈るだけでなく、復旧のための技術者の派遣や汚れた写真の復元など、「わが社ならでは」の支援策を打ち出している。
被災地のために今できること…西日本豪雨支援通信
西日本豪雨、列島各地の被害状況は
写真館のスタジオアリス(大阪市)は、水につかるなどして汚れた写真の復元を、無料で行っている。自社のスタジオで撮影した写真であれば、再びプリントして、購入時と同じアルバムやフレーム付きで渡す。
東日本大震災で好評だったため、その後の災害でも同じサービスを続けている。今回も広島、岡山、愛媛を中心に問い合わせが増えているという。
産業機械大手のクボタは、技術者約10人を被災直後から、岡山県や広島県の被災地に派遣した。技術者らは自治体の担当者といっしょに断水の状況を調べてまわり、復旧を手助けした。クボタは水道管を製造しているが、自社製品が使われているかどうかにかかわらず対応。代替部品の手配も行っている。
自社製品を被災地に贈る場合でも、配布の人手まで考える企業が増えている。
大和ハウス工業は、被災地の支店に飲料水や簡易トイレ、タオルを送った。被災した住民に配っているのは、同社の社員だという。
下着5150枚を贈ったワコールも、現地の取引先を通じて直接、被災者に配った。グンゼは、企業などでつくる災害支援の団体から「下着が足りない」との要請を受け、岡山県倉敷市真備町の避難所4カ所に下着9620枚を贈った。岡山県内の倉庫から、ボランティア活動をするNPO職員が物資を運んだ。
ボランティアを支援する動きも広がっている。
全日本空輸と日本航空は、被災地に向かうボランティアの運賃を31日まで無料にしている。日本赤十字社や特定の支援団体から派遣される人が対象だ。
ネスレ日本は、広島、岡山、愛媛の3県にある日赤の支部などに、チョコレートの「キットカット」やペットボトルのコーヒーを届けた。日赤は、各地で活動する予定のボランティアにこうした物資を配り、支援する側の心や体のケアに役立てるという。
テント製造の太陽工業(大阪市)は、岡山県倉敷市と同県総社市に、救護所などに使うテントや仮設トイレを無償で貸し出した。