オウム真理教の元教団幹部13人の死刑執行に抗議する集会が27日、東京都内であった。元幹部の弁護人らが、再審請求などの手続き中に死刑が執行されたことを強く批判し、参加者たちは「内閣や法相はこれを機に、死刑廃止に向けて方針を転換すべきだ」とする声明を採択した。
オウム暴走、三つの転機 風呂場の「事故」から始まった
【トピックス】オウム事件、死刑執行までの流れ
集会は、死刑囚らを支援する市民団体「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」や人権擁護団体「アムネスティインターナショナル日本」などが主催した。
松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚の一審で主任弁護人を務めた安田好弘弁護士は集会で、12人の死刑が執行された1910年の「大逆事件」を挙げ、「死刑をめぐる状況が、100年以上前に逆戻りした」と批判。今回の執行について「再審請求や人身保護請求などの手続き中に行われ、裁判を受ける権利が侵害された」と訴えた。
遠藤誠一元死刑囚の再審請求で弁護人だった堀井準弁護士は「恩赦の出願もしようと言っていた。非常に残念だ」と語った。堀井氏は、地下鉄サリン事件の散布役で唯一、担当した車両で死者が出なかった横山真人元死刑囚との面会も振り返り「人を殺していない人間を死刑にするのは正義に反する」と声を震わせた。
端本悟元死刑囚の弁護人だった河井匡秀弁護士は大学1年の時、オウム真理教に勧誘された経験があると明かした。「端本さんはもともと弁護士志望だった。私は勧誘を断ったが、ついて行っていたら逆の立場になっていた。残念で無力感を感じている」と話した。
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豊田亨元死刑囚の弁護人も27日、コメントを発表した。「教団の教義の問題性に気づき、脱会した以上、再犯のおそれもなかった。執行は暴挙ではないでしょうか。死刑にする必要が本当にあったのでしょうか」と執行に疑問を投げかけた。(山田暢史、岡本玄)