元広島カープの山本浩二さん(71)の兄宏さん(80)=東京都江戸川区=が初めて式典に参列した。 被爆と被災、重なる思い 8月6日、広島の特別な一日 被爆者は今、核兵器と人類の関係は…核といのちを考える 【写真特集】ヒロシマ、カメラの証言 原爆投下直後、記者が撮った街は 走り続け72年、被爆電車なお現役 重厚な「生き証人」 73年前、爆心地から約2・5キロ離れた広島市己斐(こい)町(現・西区)で集団登校中に被爆した。後頭部にやけどを負い、激痛に耐えた。当時、己斐国民学校(現・己斐小学校)の2年生。校庭に掘られた穴の中で、大勢の生徒らの遺体が焼かれる様子を目にした。 「強烈すぎて思い出したくない」。特に戦後生まれの浩二さんの前では「わざわざ嫌な思いをさせることもない」と口を閉ざした。広島で長く暮らしたが、原爆につながるものは意識的に避けてきた。 被爆70年を迎えた2015年。母の三回忌で家族が集まった際、初めて息子と娘たちに体験を詳しく話した。家族とともに被爆した場所を再訪しようと出かけたが、街並みがすっかり変わり、捜し出せなかった。「いま話さないと、すべて消えてしまう」。昨夏に江戸川区の原爆犠牲者追悼式で、初めて公の場で体験を語った。 式典後、「遠ざけてきた場所だけど、来てみると恐怖感がすっと抜けた。証言活動も臆さずにできると思う」と話していた。(橋本拓樹) |
山本浩二さん兄、初の式典「遠ざけてきた場所だったが」
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