(8日、高校野球 日南学園2―0丸亀城西)
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試合前、両校の選手たちは同じようなことを口にしていた。「乱打戦になる」「打ち勝たないと」。予想は外れ、投手戦になった。
日南学園の先発は176センチの右腕辰己。投げた後にたびたび帽子を落とす力投型のスタイルは、学校の先輩・寺原隼人(現ソフトバンク)をほうふつとさせる。ただ154キロの豪速球で甲子園を沸かせた寺原とは、持ち味は対照的だ。
直球は130キロ台前半から中盤。チェンジアップとスライダーを織り交ぜ、相手に的を絞らせない。
春の大会のころは「完封したい」とばかり考えていた。そんな自分本位な考えを見透かされ、チームメートには「お前がいなくても勝てる」と突き放された。落ち込み、金川監督に背番号1を返しにいくと、「仲間を見返すぐらいの姿を見せたらいい」と言われた。
考え方を変えた。「10点取ってくれれば9失点まではOK。とにかく相手より1点少なく抑える」。味方を信じて投げ続けた。
「バックがしっかり守って、打ってくれた。みんなに感謝したい」。散発4安打。春先とは意味合いの違う、仲間と達成した完封勝ちだった。(平井隆介)