太陽に肉薄する米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が12日、米フロリダ州のケープカナベラル空軍基地からデルタ4ヘビーロケットで打ち上げられた。初めて太陽の大気「コロナ」に突入し、直接観測する。
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探査機は、太陽風の存在を1958年に理論的に予言したユージン・パーカー博士(91)にちなんで命名された。金星の重力を使って軌道を変えて周回しながら11月に太陽に最初に接近する。76年に探査機ヘリオス2号が、太陽表面から4300万キロまで近づいているが、今回は約600万キロまで迫る。
太陽は身近な星だが謎が多い。なぜ表面温度は6千度程度なのに、コロナが100万度以上になるのか。噴き出したプラズマによる太陽風がなぜ秒速数百キロに加速されるのか。これらの解明は、人工衛星や宇宙飛行士の活動に影響を与える危険な宇宙天気の理解にもつながる。
責任者でジョンズ・ホプキンス大のアンディ・ドライズマン氏は「今日の打ち上げは60年間にわたる研究の到達点だ」とコメントした。(ラスベガス=香取啓介)