オーストラリア政府が、次世代通信規格「5G」の通信網について、中国の通信大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の参加を認めない方針が23日、明らかになった。安全保障上の懸念が理由で、華為は「失望した」とコメントを出した。
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豪政府は同日、今年11月後半に周波数割り当ての入札が予定されている5Gの通信網に関連して声明を発表。5Gは新しい技術のため、顧客情報の保護やサイバー攻撃などへの対応が従来の方法では難しくなっているとし、「外国政府からの指示に従う可能性の高い業者が関与すると、通信網を適切に守れなくなるリスクがある」とした。
発表では華為などを名指してはいないが、華為の豪州法人は同日、公式ツイッターで「政府から、華為とZTEが5G技術の提供を禁止されたと知らされた。消費者を極めて失望させる結論だ」とした。
豪州では、早ければ、来年にも5Gのサービスが始まる。周波数の入札には、豪通信大手のテルストラなどが関心を示している。
通信事業を巡っては、豪政府は2012年にも、インターネットの全国ブロードバンド網の整備を巡って、同様に華為の参加を禁じた。
豪州戦略政策研究所のピーター・ジェニングス所長は「華為は中国共産党と近い。安全保障にかかわる情報が中国の機関にハッキングされるかもしれない、という大きな懸念がある」と指摘する。
一方、中国外務省の陸慷報道局長は23日の定例会見で、「豪州政府がイデオロギー的な偏見を捨て、中国企業の豪州での運営に公平な競争環境を与えるよう促す」と述べた。(シドニー=小暮哲夫、北京=福田直之)