ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会は7日、ミャンマーのバガン遺跡とラオスのジャール平原を世界文化遺産に登録することを決めた。ミャンマー有数の観光地であるバガンでは観光客が増えることへの期待の一方、環境への影響を心配する声も上がっている。
ミャンマー中部にあるバガン遺跡は、約3千の大小様々なパゴダ(仏塔)などが残る世界3大仏教遺跡の一つ。11~13世紀に栄えたバガン王朝の遺跡群で、多くの極彩色の壁画が確認されている。2017年には国内外から約60万人が訪れた人気の観光地で、1995年に世界遺産の候補になって以来、ミャンマー政府は世界遺産への登録を見越して日本の専門家らの協力を得て修復を続けていた。
登録の知らせに、地元の人々はフェイスブックに「喜ばしい」「観光が盛り上がる」などと歓迎の声を寄せている。バガンの「サラトラベル」の橋本哲郎さんは、「これから世界遺産好きな日本の観光客増加も見込める」としながらも、「宿泊施設不足や交通渋滞などが予想される。地価高騰や観光の急速なビジネス化が進めば地元住民の生活環境に影響するだろう」と話す。
一方、ラオス北東部にあるジャール平原には2千を超える石のつぼが残る。死者の弔いに使われたとされるが、詳しいことは分かっていない。登録を受け、ラオスの情報文化観光相は「ユネスコの価値ある決断に感謝したい」とコメントした。(バンコク=染田屋竜太)
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