スルガ銀行(静岡県沼津市)のシェアハウス投資向け融資で不正が多数発覚した問題で、同行の岡野光喜会長兼CEO(最高経営責任者、73)が辞任する見通しとなった。不正の実態を調べる第三者委員会(委員長=中村直人弁護士)や立ち入り検査に入る金融庁では、30年超にわたってトップを務める岡野氏の責任が重いとの見方が強まり、引責辞任は不可避となった。
スルガ銀、Jリーガーにも過剰融資 借金がプレーに影響
「優等生」称賛の裏で恫喝や重圧 スルガ銀、不正の構図
第三者委が近く公表する調査結果や金融庁の行政処分も踏まえ、正式決定する見通し。組織の立て直しに経営陣の刷新は必至の情勢で、米山明広社長(52)ら他の経営幹部の処遇も今後検討される。
シェアハウス投資では、不動産業者らが長期の家賃収入を約束して会社員らをオーナーに勧誘した。業者らは融資資料を改ざんして貯蓄や年収を水増しし、1棟あたり1億円前後の融資を引き出した。関連融資は2035億円、1258人分にのぼる。
不正の発覚を受け、2018年3月期決算では貸し倒れリスクに備えた引当金が膨らみ、利益は激減。株価は年明けの4分の1程度にまで下落した。
6月の株主総会では株主から厳しい批判を受け、岡野氏は初めて謝罪したうえで「経営責任は第三者委員会や金融庁検査の結果を待って自ら厳しい対応をとる」と述べた。
創業家出身の岡野氏は1985年に頭取に就任。会長職を含めて30年以上にわたって経営の実権を握ってきた。(山口博敬、藤田知也)