大手貴金属商社「ネットジャパン」(東京都台東区)の経営権売却をめぐり、創業者の吉沢敏行会長(67)と、タックスヘイブン(租税回避地)にある会社が、東京国税局から所得税と法人税計約66億円の申告漏れを指摘されていたことがわかった。外国企業を使うことによる税逃れを防ぐ税制が適用された模様だ。過少申告加算税などを含めた追徴税額は計約25億円とみられる。
関係者によると、吉沢会長は2011年ごろ、自身が保有するネットジャパン株を売却して事業譲渡することを検討。株式は12年3月、タックスヘイブンとして知られる英領バージン諸島の会社に譲渡され、すぐに別の会社に転売された。
東京国税局は、この取引について16年秋から税務調査に着手。外国企業が日本企業の株式を売却した際、保有割合が大きかった場合などは売却益に課税できる制度を適用し、この会社に約52億円の申告漏れを指摘した。
この株式売却に絡み、吉沢会長が100%株主となっていた英領バージン諸島の別の会社が、転売先の親会社の株式の一部を買った後に約2倍の高値で売り戻していたことも判明。同国税局は、税負担の軽い国・地域に所得を移して日本での税金を減らすのを防ぐ「タックスヘイブン対策税制」を適用し、同社が得た売却益を吉沢会長の所得だとみなして、約14億円の申告漏れを指摘したという。
吉沢会長はタックスヘイブン対…