北朝鮮が国連安全保障理事会の制裁を逃れるために洋上で船を横付けして荷物を積み替える違法な「瀬取り」は、液体の石油だけでなく、北朝鮮産の石炭をクレーンを使って小型船に積み替えていると、北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが中間報告書で指摘していることがわかった。制裁網は緩んでいないが、手口を巧妙化させることで北朝鮮が密輸を続けている実態が浮き彫りになった。
朝日新聞が入手した専門家パネルの中間報告書で明らかになった。報告書は、北朝鮮は瀬取りで石油製品の密輸を「大幅に増やしている」と指摘。「核・ミサイル開発計画をやめず、安保理制裁決議への挑戦を続けている」と非難した。その上で、密輸の新たな手口を紹介している。
石炭も積み替え
これまでの瀬取りでは、洋上で横付けした2隻をホースでつなぎ、石油精製品などを積み替えるのが主流だった。報告書は、洋上でクレーンを使って石炭を積み替える事例を写真とともに指摘。石炭は昨年の安保理決議で輸出が全面禁止されており、北朝鮮が密輸で外貨を稼ぐ試みを続けている実態が浮かび上がる。
報告書によると、3~5月に北朝鮮西部の南浦(ナムポ)で石炭を積んだ複数の北朝鮮船が、ベトナム沖のトンキン湾まで行って、複数の小型船や正体不明の船に積み荷を移した、との情報が国連加盟国からパネルに提供された(図の②)。報告書は「北朝鮮が今年も石炭禁輸の制裁に違反し続けている」と指摘。加盟国による監視が緩くなりがちな公海上での小型船などへの移し替えを「新たな手口」と呼び各国に警戒を呼びかけた。
外国船同士で
さらに、北朝鮮が自国の船を介…