関西の百貨店による来年正月の「おせち商戦」がまもなく始まる。健康を意識したヘルシー料理や、酒に合うおつまみ風など様々なニーズに対応。各社は、注文が年々増えているおせちの売り上げを伸ばそうと工夫をこらす。予約は9月中旬以降、順次受け付ける。
高島屋は12日、食材をムース状にした「ムース食おせち」(税込み1万4040円)をお披露目した。栗きんとんや黒豆などをすりつぶしていて、「高齢者などかむことが難しい人にもおせちを食べてほしい」という。大丸松坂屋百貨店は、ラム酒入りの栗きんとんや、なまこポン酢など35品を少量ずつ詰めた「おつまみ玉手箱」(1万6200円)を販売する。
おせち料理は近年、共働き世帯の増加などを背景に「作るより買う方がお得だと消費者は感じている」(高島屋担当者)という。昨季のおせちの売上高は高島屋が前季比9%増、大丸松坂屋が3%増となるなど、各社が力を入れる分野になっている。
近鉄百貨店はそこで、昨季好評だった5万円以上の高額なおせちを10点増やした。「特別な日にはぜいたくをしようという傾向がみられる」(近鉄担当者)ためだ。著名なシェフがプロデュースするレストランの「BENOIT(ブノワ) フレンチおせち」(7万3440円)などを新たにそろえた。
阪神百貨店は、定番の「阪神タイガースおせち」(1段×3セット、2万1600円)のデザインを一新。球団ロゴを器にあしらった。詰め込む料理には、「のどぐろ広島菜巻」「つばめ型のにんじん」「オレンジミート」「中華くらげと蒸し鶏」「名古屋名物手羽先」と、ライバル球団をイメージさせるものも。(久保田侑暉)