19日午前4時ごろ、仙台市宮城野区東仙台2丁目の宮城県警仙台東署東仙台交番で、清野(せいの)裕彰巡査長(33)が、訪れた男に刺されて死亡した。県警によると男は同市宮城野区新田(しんでん)2丁目の大学生相沢悠太容疑者(21)。別の男性巡査部長(47)が発砲し、相沢容疑者も死亡した。清野巡査長の胸や腹には複数の刺し傷があり、県警は強い殺意があったとみて、殺人容疑で相沢容疑者を容疑者死亡で書類送検する方針だ。
警官刺殺の容疑者は21歳大学生 現場交番近くに居住
死亡した清野巡査長、「おおらかで優しい」元高校球児
県警によると、相沢容疑者の自宅は同交番の約700メートル東。凶器の刃物は刃渡り約20センチの包丁で、相沢容疑者のウエストポーチにはほかに、ドライバーやはさみ、カッターナイフが入っていた。関係者によると、相沢容疑者は同市内の東北学院大学の3年生という。
発表によると事件直前、相沢容疑者は白いマスク、黒の半袖シャツに青のジーパン姿で交番を訪れ、「現金を拾った」と千円札1枚を示した。当初は清野巡査長と巡査部長が応対。清野巡査長が外に面した見張り室で話を聞き、巡査部長は奥の執務室に下がった。
まもなく怒鳴り声がして巡査部長が戻ると、清野巡査長が血を流し、うつぶせに倒れていた。床は血まみれになっていたという。相沢容疑者が包丁とマシンガン型のモデルガンのようなものを持って向かってきたため、巡査部長は「刃物を捨てろ」と警告。だが相沢容疑者が従わず、拳銃を3発発砲した。清野巡査長と相沢容疑者はカウンターの内側に倒れていた。交番内には当時、他に2人の警察官がいて仮眠中だった。交番に防犯カメラは設置されていなかった。
同県内では2005年、駐在所が少年に襲われ、警部補が重傷を負う事件があった。その後、警察官には鉄板が入ったベスト状の「耐刃防護衣」の着用を徹底した。清野巡査長は防護衣をつけておらず、県警が経緯を確認している。
県警は同日付で、清野巡査長を警部補に昇任させた。巡査部長の拳銃の使用について、県警の阿部徹捜査1課長は「適正な職務行為だったと考える」と話している。
■対策強化…