首相の車 売ります――。パキスタンで先月就任したイムラン・カーン首相が17日、首相公邸の車102台を一斉に売りに出した。首相肝いりの「ムダ撲滅運動」の一環で、買い手がついた61台の売り上げ計約2億ルピー(約1億8千万円)が国庫に納められるという。
首相府によると、競売にかけられたのは業務に必要な車を除くトヨタやBMWの防弾車など。10億ルピー(約9億円)の売り上げを見込んでいたが、爆弾攻撃に耐えられる車など高額車両の売れ残りが続出。値段を下げて再び競売にかけるという。財政再建を公約に掲げるカーン首相は今後、国有地を売却する方針も示している。
多額の対外債務を抱えるパキスタンは、今年度の経常収支赤字が過去最大の約220億ドル(約2兆5千億円)に膨らんでいる。首相としては今回の競売などで倹約ぶりをアピールし、将来的に避けられない増税への反発を抑えたい思惑もある。
カーン首相は今月7日にも、水不足解消のためにダムを建てたいと演説し、その費用を国指定口座に振り込んでほしいと「ダム募金」を訴えて話題を呼んだ。(イスラマバード=乗京真知)