大相撲秋場所(東京・国技館)13日目の21日、元横綱大鵬の孫、東幕下60枚目の納谷(18)が入門後初の負け越しを味わった。土をつけたのは、同じく3勝3敗だった元横綱朝青龍のおいで東幕下56枚目の豊昇龍(19)。ほぼ同じペースで出世してきた2人の地位は、来場所、豊昇龍が大きくリードする形になる。
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幕下下位ながら大きな歓声を浴びた土俵。納谷が大柄な体格を生かして前に出た。低い体勢の豊昇龍が体を開き、首を抱え込んで納谷をたたきつけた。これで納谷の勝ち越しは3場所連続で途切れ、一方の豊昇龍は序ノ口から4場所連続勝ち越しとした。
2人は前相撲と序ノ口で戦い、ともに納谷が勝っていた。「前相撲の時は『次は勝つ』で、序ノ口で負けて『次は絶対に勝つ』と言った。勝ちたい気持ちが強かった」とライバルからの初勝利を喜んだ豊昇龍。対する納谷は、「(負け越しを)受け止める」と大きく肩を落とした。
先場所前まで2人の通算成績は同じ19勝2敗。だがそろって幕下に昇進した今場所、壁にぶつかった。
納谷はスピードについて行けない相撲が目立ち、初の2連敗を喫した。豊昇龍は3連勝から3連敗。いらだちをあらわにし、取材に応じる時間が日に日に短くなっていた。それだけに、勝ち越しをかけたこの日は大きな一番だった。豊昇龍は番付をさらに上げ、納谷は三段目に戻りそうだ。
大鵬は14年半の現役生活で、休場を除いて2度しか負け越さなかった。朝青龍も11年間で、皆勤した場所では負け越しは2度だけ。大きく、重い看板を背負う若者たちの土俵人生は続いてゆく。