インドネシア・スラウェシ島中部で28日に起きた地震は、発生から一夜あけ、死者・行方不明者が400人を超すなど惨状が徐々に明らかになってきた。沿岸部を襲ったのは6メートルともされる大津波。数千棟の建物が倒壊し、道路や通信は寸断され、復旧の見通しは立っていない。
住宅に押し寄せる津波、逃げ回る住民 インドネシア地震
「津波が6メートルあったという情報があり、確認をしている」。国家防災庁(BNPB)の報道官は29日午後、そう報道陣に明らかにした。マグニチュード(M)7・5の地震が同島中部のパル周辺を襲った直後の28日夕、気象当局が津波警報を出して予測していたのは最大3メートル規模だった。
現地報道によると、被害がもっとも激しいのは、震源から南へ約80キロ離れた人口約37万人のパル。沿岸部で多数の遺体が確認されており、近郊から訪れていたニニンさん(32)は地元紙コンパス(電子版)に「たくさんの遺体が、がれきだらけの浜辺や海面の中に見えた。使える道路も少しだけ」と話した。
パルでは当時、浜辺でお祭りが開催され、人々でにぎわっていたとの情報がある。地元紙レプブリカ(電子版)は、「津波が来た当時、浜辺には千人ほどの人がいた」との地元公務員エイドリアンさん(35)の話を引用した。
パルは、幅5~7キロ、長さ約30キロの細長い湾の最奥部にある。米国気象当局のデータによると、湾口付近は水深が200メートル前後。震源地付近で生まれた波が湾内で増幅され、大きな津波になってパルの浜辺を襲った可能性があると国内の専門家らが指摘している。
現地の通信状況は悪く、道路も…