プロ野球パ・リーグは30日、埼玉西武ライオンズが10年ぶり22度目(西鉄時代を含む)のリーグ優勝を決めた。今年3月に阪神からトレードで西武に移籍してきた榎田大樹投手が、初体験の優勝や新天地への思いを語った。
西武が10年ぶりパ・リーグV 強打で開幕から首位堅持
特集:埼玉西武ラインズ
◇
うれしい。優勝のために西武に呼ばれたと思って一生懸命やってきて、それが実りました。
阪神からトレードが決まった日は、鳴尾浜の2軍寮のお風呂から出たとき、寮長から「この番号からかかってくるから、電話に出てほしい」と言われました。驚きと不安というか、頭にはあったんですが、実際言われると変な感じでした。
ライオンズに来てみると全然違う。阪神の場合は練習の時点から見られている雰囲気があった。全体練習でもウォーミングアップの時から、しっかりと隊列を作って、規律正しくやることがほとんどだったので。厳しいとは思いませんでした。それが当たり前だと思ってやっていましたから。
でも、西武ではランニングからバラバラ。みんな自分のタイミングでやっていく。試合中の声出しだったり、自由だなっていうのは感じました。オンとオフがしっかりしている。どちらがいい悪いではなく、ここに来てそういう違いにも気がつくことができました。
今季、5勝目の相手が古巣。投げることができて、うれしかった。福留さんは地元の先輩で、小さい頃から見ている人でしたから対戦したかった。阪神ファンの方からも声援をもらえた。ありがたい。フリーエージェント(FA)ならメッチャ言われるでしょうけど、トレードでしたから。
今季は野手がよく打ってくれました。だから、いかにゲームを壊さないかだけを考えた。最少失点で抑えるのが自分の役割。そのうち、すごい援護点をもらえるようになった。精神的にプラスに働いて、粘り強く投げられるようになった。
西武ではみんな話しかけてくれます。栗山さんなど年上の方や、下の選手からもちょっかいを出される。多和田や今井には「生え抜き頑張れ」とか言ってますよ。若い選手とは溶け込みやすいし、仲が良すぎるぐらい。コミュニケーションが取れていると思います。
トレードがなかったら、出会えていなかった人もいる。機会をくれた西武に感謝したい。人生、悪いことの方が多い、楽しいことの方が少ないと思っていた時期もありましたけど、西武に来てからは楽しいことの方が多いぐらい。それは、周囲が支えてくれるから。ここで慢心したらダメ。終わらないように、まだまだやれるようにしたい。
◇
〈えのきだ・だいき〉 1986年8月生まれ、鹿児島県出身。宮崎・小林西高、福岡大を経て東京ガスから2010年秋のドラフト1位で阪神入団。阪神では主に中継ぎを任されて今年3月、西武にトレード移籍。プロ8年目の今季は自己最多の10勝(30日時点)を挙げ、通算218試合で23勝21敗3セーブ、防御率3・77。左投げ左打ち、181センチ、89キロ。