プロ野球・西武ライオンズが30日、10年ぶりとなるリーグ優勝を果たした。2017年の西武担当記者が、優勝へ導いた辻発彦監督を振り返った。
西武が10年ぶりパ・リーグV 強打で開幕から首位堅持
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辻発彦監督が就任する直前から担当した。現役時代を知る同業他社の先輩から一様に聞かされた監督の人物像は、「職人肌で、一匹狼(おおかみ)的な存在」。だが、辻「監督」は違った。
身ぶり手ぶりを交え、コーチのように直接選手に指導する。軽口を挟みつつ、まんべんなく選手と会話をかわす。「おい、アグー(山川穂高の愛称)。なんだよ、そのグラブの出し方は」と怒鳴っては、おおげさにガックリしてみせる。
とにかく、選手との距離が近く、明るい。過去に担当した監督には、見ることのなかった光景。監督の作り出す空気で、低迷していたチームの雰囲気は確かに変わった。
大胆で的確な起用にも驚かされた。打撃に難ありとされた源田壮亮を、1年目から思い切ってレギュラーで起用。いまや欠かせない中心選手に。くすぶっていた外崎修汰を外野でも起用し、出場機会の幅を広げ、今年キャリアハイの打撃成績を残すまでに成長させた。
就任直後、補強ポイントを問われ、監督はこう返した。「僕は、あるもの(現有戦力)で頑張ります」。言葉通りに2年で頂点へ。当時、それは至難の業と思った不明を、いまは恥じている。
(2017年 西武担当・松元章)