韓国元大統領の李明博(イミョンバク)被告(76)が財閥などから多額の賄賂を受け取ったとして収賄罪などに問われた裁判で、ソウル中央地裁は5日、判決公判を開き、懲役15年、罰金130億ウォン(約13億円)、追徴金82億7千万ウォン(約8億2700万円)の実刑判決を言い渡した。
初公判で全面否認 汚職事件初公判の李明博元大統領
検察側の求刑は懲役20年、罰金150億ウォン(約15億円)、追徴金111億ウォン(約11億円)。判決公判は、テレビで生中継されたが李被告は欠席した。
判決によると李被告は2008年の大統領就任前から自身の自動車部品会社を秘密資金づくりに利用し、約246億ウォン(約24億6千万円)を横領。同社の米国での訴訟費用を、韓国最大の財閥サムスングループに負担させ約60億ウォン(約6億円)の賄賂を得た。
李被告は文在寅(ムンジェイン)政権下で始まった検察の捜査について「政治的報復」と批判。今年3月に逮捕されて以降、一貫して取り調べに応じなかったが、地裁は元側近らの証言などに基づき起訴内容の多くを認定。「被告を信じて支持した国民はもちろん、韓国社会全体に大きな失望と不信感を与えた」と指摘した。
一方、朴槿恵(パククネ)前大統領と韓国ロッテグループをめぐる贈収賄事件などで罪に問われた同グループ会長の辛東彬(シンドンビン、日本名・重光昭夫)被告の控訴審判決も同日ソウル高裁であり、高裁は懲役2年6カ月、執行猶予4年を言い渡した。辛被告は贈収賄事件の一審で懲役2年6カ月の実刑判決を受け、2月から拘置所に収容されていたが同日釈放された。(ソウル=武田肇)