サウジアラビア政府を批判してきた同国の著名なジャーナリストが、訪問先のトルコのサウジ総領事館に入った後に行方不明になった問題で、ロイター通信は6日、トルコ捜査当局がジャーナリストは館内で殺されたとみていると報じた。この問題では、トルコとサウジの言い分が真っ向から対立し、中東の地域大国同士の外交問題に発展する可能性がある。
サウジ批判のジャーナリストが行方不明 訪問先トルコで
結婚手続きのため、2日にイスタンブールのサウジ総領事館に入ったまま行方不明になっているのは、サウジ国籍のジャマル・カショギ氏。ロイター通信によると、トルコ当局はカショギ氏が殺害された後、遺体は総領事館の外に運び出されたとみている。当局者の1人は「殺害は前もって計画されたものだと考えている」と語った。
AFP通信によると、2日には政府関係者を含む約15人のサウジ人がイスタンブールに到着。カショギ氏が総領事館にいる間に館内にいたという。トルコ当局は、この一団がカショギ氏を殺害したとの見方を強めているという。
カショギ氏の行方をめぐっては、トルコ側が3日に「総領事館の中にいる」との見方を示したのに対し、サウジ側は「総領事館を出た後に行方不明になった」と反論。サウジのムハンマド皇太子はメディアの取材に、「トルコ政府が建物に入り、捜索することを受け入れる。何も隠すことはない」と述べていた。
カショギ氏は米国を拠点にワシントン・ポスト紙などに寄稿し、ムハンマド皇太子が主導する改革などを批判してきた。(イスタンブール=其山史晃)