イラク北部のクルド人主導の自治区政府、クルディスタン地域政府(KRG)の議会選挙(定数111、任期4年)の投票が9月30日、行われた。1年前に強行したイラクからの独立の賛否を問う住民投票後の混乱や、汚職や経済の低迷から自治区政府への住民の不信感は根深い。選挙管理委員会によると、暫定の投票率は57・2%(前回73・9%)だった。結果は数日内に判明する見通し。
選挙は2013年以来で、住民投票を主導した最大与党・クルディスタン民主党(KDP)と、連立を組むクルディスタン愛国同盟(PUK)が政権の座にとどまるかが焦点。昨年11月に実施予定だったが、住民投票に猛反発したイラクの中央政府との関係が悪化し、自治区内の国際線発着が一時禁止されるなどの混乱が続いて延期された。選管によると、有権者数は約308万人。
クルド人は「国を持たない最大の民族」と呼ばれ、独自の言語と文化を持つ。第1次大戦後、居住地域に国境線を引かれ、イラク、トルコ、イラン、シリアなどに分断された。全人口は推定3千万人。うち約600万人いるイラクでは多くが北部に住む。
1年前の住民投票は、投票率約…