2011年の東京電力福島第一原発事故に伴い、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県産の食品輸入を止めてきた台湾で、輸入解禁の是非を問う住民投票が、統一地方選にあわせて11月24日に行われる。野党国民党が住民の署名を集めて請求し、中央選挙委員会が9日、決定した。
蔡英文(ツァイインウェン)・民進党政権は当初、輸入解禁に前向きだったが、国民党が「核災食品(原発事故にあった食品)」などと呼んで反対。政治問題化している。
原発事故に伴う輸入規制では、香港が今年7月、福島を除く4県分を解禁。10都県を対象にした中国は、解禁に向けて日本側と協議の場を設けている。
蔡政権が住民投票の請求要件を緩和した結果、統一地方選に向けて、審査中を含め10件の住民投票が提案されている。国民党は食品問題のほか、蔡政権が進める脱原発政策に対抗して、代替の火力発電所建設に反対する住民投票なども提起。政権への攻撃に利用する狙いがある。
20年の東京五輪に従来の「チャイニーズ・タイペイ」ではなく「台湾」の名称で参加を申請することへの賛否を問う住民投票も、実施されることが決まった。台湾を自国の一部と見なす中国側は反発するとみられる。
同性婚を法律にどう位置づけるかを問う住民投票も実施する。
いずれも、投票の結果、賛成が反対を上回り、かつ有権者数の4分の1以上であれば、政権の判断を拘束することになる。(台北=西本秀)