インド洋の島国モルディブで先月行われた大統領選で、敗北した現職ヤミーン大統領派の与党が10日、「選挙で票の操作や不正、汚職があった」として、最高裁に法的措置を求める訴えを起こした。11月に予定されている政権移行が円滑に行われるかどうか、懸念が高まっている。
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地元メディアによると、最高裁が訴えを受理したかどうかは不明。選挙管理委員会は訴えについて何も知らされていないという。
同国の大統領選は先月23日に投開票された。独裁化していた政権が最高裁判事や野党政治家を次々と逮捕するなど、公正な選挙の実施が困難だとみて、国連や欧州連合(EU)などは監視団を派遣しなかった。
警察が投票日当日の未明まで野党の選挙事務所を捜索するなど、あからさまな圧力をかけたが、野党統一候補のイブラヒム・ソリ氏が大差で勝利した。翌日、ヤミーン氏もテレビ演説し、敗北を認めていた。
選挙結果をめぐっては、ヤミーン政権に批判的だった米国やインドがいちはやく歓迎する声明を出したほか、ヤミーン政権を全面的に支えた中国政府も結果を尊重する考えを表明していた。(ニューデリー=武石英史郎)