約130万人に本来より少ない年金が支払われた問題で、日本年金機構に対して6月に業務改善命令が出された。「年金への信頼回復」を掲げた機構設立から8年。不祥事が繰り返される背景には、「コスト削減」に縛られてきたあり方の限界も浮かぶ。(佐藤啓介) 「妻の名前が全然違うじゃないか」 大阪府内のある年金事務所には、年明けからそんな受給者の苦情が相次いでいた。日本年金機構がこの時期に送った昨年分の公的年金の源泉徴収票で、家族の名前の誤りが続出したためだ。男性職員は「職員同士でもおかしいと話題になっていた」と振り返る。 2月、今度は年金額の振込通知書が届いた受給者から「今月の年金が少ない」との問い合わせが増えた。機構は13日、受給者が提出した「扶養親族等申告書」の反映漏れがあったとホームページで告知。各地の年金事務所では、申告書のコピー計500万人分と入力データを突き合わせる点検が3月まで続いた。 二つのトラブルは、機構本部が… |
「名前が全然違う」不祥事続きの年金、リスク軽視の代償
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