障害者雇用促進法で義務づけられている障害者の法定雇用率について、国の複数の中央省庁が対象外の職員を算入して水増ししていた疑いが出てきた。制度を所管する厚生労働省が各省庁に再調査を求めており、農林水産省は取材に対し、一部で水増しがあったと認めた。実態をチェックする仕組みがないため、障害者雇用を促進する立場の国の機関で不適切な算入が常態化していた可能性もある。
複数省庁、障害者の雇用率を水増しか 厚労省が調査実施
厚労省のガイドラインでは、法定雇用率の障害者数に算入できるのは原則、身体障害者手帳▽知的障害者の療育手帳▽精神障害者保健福祉手帳▽精神保健指定医らの判定書の交付を受けている人だ。身体障害者は手帳がなくても認められる例外があるが、医師の診断書や意見書が必要とする。
厚労省によると、このガイドラインの解釈について省庁から問い合わせがあり、障害の程度が軽い対象外の人を算入している可能性が浮上。6月に各省庁に対し、2017年(6月1日時点)の雇用率の再調査を求めた。とりまとめ次第、公表する。
朝日新聞が17日、再調査について主な省庁を取材したところ、総務省や国土交通省など多くは「精査中」とした。一方、農水省は「身体障害者について、診断書など十分な確認をしていなかった」とし、不適切な算入があったと一部認めた。
厚労省は17年の雇用率につい…