(20日、パ・リーグCS最終ステージ第4戦 ソフトバンク8―2西武)
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ソフトバンクの武田がほえた。
六回1死二、三塁。西武の6番中村を147キロの速球で3球三振に仕留め、続く岡田は139キロで見逃し三振に。自身が招いたピンチを気迫の投球で切り抜けると、派手に拳を突き上げた。シーズン終盤から中継ぎを務める25歳は、自らを送り出す工藤監督の意図をよく知っていた。
執念の継投――。一発長打を誇る西武打線を封じ、「先行逃げ切り」を図る指揮官の采配だ。
この日は二回までに4点を先取すると、中4日で先発した東浜を四回、77球で早々と交代させた。五回からは武田がマウンドへ。七、八回と小刻みな継投でつなぎ、最後は守護神の森が3人でぴしゃりと抑えた。反撃の機会さえ得られなかった西武の辻監督は脱帽した。「ソフトバンクのリリーフはタフ。そのタフさが本当にすごい」
ソフトバンクは12球団で唯一、規定投球回数に達した先発投手がいない。それを支えているのは、“骨太”といえる救援陣。今季は、昨季54セーブのサファテ、中継ぎエースの岩崎を負傷で欠いた。その状況で夏場以降、先発の武田と石川を中継ぎに回した。安定感が生まれ、チームは浮上した。
継投を駆使し、西武をこの最終Sで最少の5安打2得点に抑え込んだ。2年連続の日本シリーズ進出まであと1勝。工藤監督は言い切った。「次戦をものにするという気持ちでいく」(堤之剛)
○工藤監督(ソ) 「(先制弾の柳田は)本当にいい本塁打を打ってくれて、いい雰囲気になった。(先発の東浜も)いい集中力で投げてくれた」
○内川(ソ) 2安打2打点で、CS通算安打と打点で歴代最多。「試合数とか状況が違うが、そういう舞台に数多く立たせてもらっているということ」
○甲斐(ソ) 二回に追加点となる左中間への2点本塁打。「真っすぐを久しぶりにしっかり捉えられた。最高の結果になった」
○東浜(ソ) CS第1Sから中4日の先発で4回2失点。「立ち上がりから全力でいった。本塁打は打たれたが、粘れた。チームが勝つことが一番」
投壊の獅子、がけっぷち
4試合で計38失点。西武の投手陣に、立ち直る気配が見られない。
この日は高卒2年目の今井に先発を託したが、2ラン2本で4失点。いずれも簡単に2死を奪ってから走者を出し、被弾した。四回以降は我慢比べになったが、七回に勝ちパターンの増田とマーティンが四球を連発。どちらに転ぶか分からなかった試合の流れが、一気に相手に傾いた。
シーズン最終戦後、宮崎での秋季教育リーグを活用するなど試合勘を鈍らせないようにしてきた。打線には一定の効果が見られるものの、「増田はシーズンの終盤、よかったんだけどね。間隔が空いた分、調整がうまくいかなかったのかなあ」と辻監督。獅子が崖っぷちに追い込まれた。
●辻監督(西) ソフトバンクの打力に屈し2勝3敗。「次が今季最後の試合になるかもしれない。全員で戦いますよ。気合でやりますよ」
●今井(西) 五回途中で4失点。「いつもよりカウントは整えられたが、決め球を厳しく投げきれなかった」
●木村(西) 三回は2ラン、四回の守備ではフェンスにぶつかりながら飛球を好捕。攻守で貢献するも、「短期決戦は勝たないと意味がない」。