北朝鮮が金正恩(キムジョンウン)体制下の2012~17年に中国から輸入した貴金属や酒類などのぜいたく品が40億ドル(約4500億円、1ドル=約112円)余りに上った模様だ。昨年1年間では約6億4千万ドルだった。韓国野党、自由韓国党の尹相現(ユンサンヒョン)議員が韓国統一省の資料や中国の貿易統計などを分析した結果として明らかにした。
国連安全保障理事会は06年10月の北朝鮮の初の核実験を受け、北朝鮮へのぜいたく品の輸出を禁じているが、17年のぜいたく品輸入額は16年よりも3・8%減っただけだった。
尹議員によれば、6年間に輸入したぜいたく品の内訳は電子機器が約20億ドル、自動車が約14億ドル、酒類が約1億7千万ドル、時計が約5千万ドルなどだ。
韓国政府関係者によれば、正恩氏は妻の李雪主(リソルチュ)氏とともにスイスの高級ブランド「モバード」の腕時計を愛用。また北朝鮮関係筋によれば、正恩氏は16年5月の朝鮮労働党大会の際、高級幹部約100人にスイス製腕時計を贈った。正恩氏はベンツやロールスロイスの乗用車を使っている。
尹議員は「昨年のぜいたく品購入額はコメ165万トン分に相当する」と指摘した。国連食糧農業機関によれば、17年11月から18年10月にかけて、北朝鮮の食糧不足量は約80万トンだ。
韓国政府によれば、今年秋時点で北朝鮮のガソリンやコメの市場価格、為替レートに大きな変動は見られない。韓国の経済専門家は「北朝鮮が依然、外貨を保有している証拠だ」とみている。(ソウル=牧野愛博)