安倍政権が、企業に雇用の継続を求める年齢をいまの65歳から70歳に引き上げる検討を始めた。人口減少が進む中、働く高齢者を増やして人手不足の緩和や、社会保障財政の安定化を図る狙いだ。2020年の法改正をめざすが、高齢者の健康や意欲には個人差が大きく、課題も少なくない。
日本の人口は今後、生産年齢人口(15~64歳)が減り続ける一方、65歳以上の高齢者は42年まで増え続ける。政府は、高齢者の体力や運動能力がこの10年で5~10歳ほど若返ったり、60歳以上の約8割が70歳以降まで働くことを希望していたりするとの調査結果などから、高齢者に社会の「支えられる側」から「支える側」になってもらうことをめざしている。
いまの高年齢者雇用安定法は、65歳までの雇用確保措置として①定年の引き上げ②継続雇用制度の導入③定年制の廃止――のいずれかの措置をとることを企業に義務づけている。
政府はこの年齢を70歳まで引…