中南米などの日系4世を受け入れる新たな在留資格(4世ビザ)について、受け付け開始の3月末からの6カ月余りで発給がわずか2件にとどまっていることが27日までに分かった。「架け橋の育成」をうたいながら、申請条件が厳しすぎることが低調さの原因とみられる。
4世ビザ制度は7月1日に施行された。日本政府は、年4千人ほどの来日を見込んでいたが、外務省領事局によると、10月中旬までに発給されたビザはブラジル1件、フィリピン1件にとどまるという。
ブラジルなどの日系人はバブル期の人手不足を受けた1990年の出入国管理法(入管法)の改正で、2、3世とその家族に「定住者」の資格が与えられた。製造業などで日本経済を支え、日本に住むブラジル人は07年には約31万人に達した。
一方、「雇用の調整弁」として扱われ、08年のリーマン・ショックでは多数が解雇され、帰国を余儀なくされた。共生策の不備から、地域住民との摩擦や、日本語ができない子どもの教育の問題も起きた。17年末の時点で日本で暮らすブラジル人は約19万人。
日本に定住できる4世はこれまで原則として、3世と一緒に暮らす未婚の未成年に限られていた。4世の人には、日本で育ちながら両親の帰国に伴って離日した人も多い。現地の日系人団体からは、これから日本行きを志す4世以降に、定住資格が広がることを期待する声が出ていた。
一方で、自民党の「1億総活躍推進本部」は17年5月、人手不足や少子高齢化を受けた提言の中で、外国人留学生の就労時間の制限緩和などとともに、日本語を学びながら働ける4世向けの「新しいワーキングホリデー」制度の新設を打ち出した。
これを受けて設けられた今回の制度は、対象年齢は18歳以上30歳以下で、家族の帯同はできない。自由に働けるものの最長滞在期間が5年だ。入国前に「基本的な日本語」の能力も求められる。日本では週1回程度、「日本語や日本の文化などを学ぶ活動」を続けることが求められ、3年以上暮らす場合は「日本文化及び日本国における一般的な生活様式の理解」を十分深めることも求められる。
またあらかじめ日本側に、4世…