明治神宮野球大会は12日、東京・神宮球場で高校の部の準決勝があり、星稜(北信越・石川)は高松商(四国・香川)を7―4で下した。今夏の18歳以下(U18)日本代表に選ばれた奥川恭伸(2年)を筆頭に投手力が注目されてきたが、打線にも力があることを証明した。
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三回、奥川の神宮大会初失点で1―1に追いつかれた。直後の攻撃。「勢いをつけたい」。星稜の2番東海林航介(2年)は、2ボールからの直球を強く振り抜いた。白球は右翼席へ。高校通算2本目というソロ本塁打で、流れを奪い返した。
ただ、東海林が手応えを語ったのは、四回無死一塁で迎えた次の打席だった。ファウル3本で粘りながら四球を選ぶ。中軸につなぎ、追加点がうまれた。
今年の星稜打線は「1打席での修正力」をテーマに掲げてきた。東海林は会心の一打に浮かれず、「ホームランの後は大振りになりやすい」と気を付けていた。八回にも四球で出塁し、得点につなげた。
この日、高松商の先発は、星稜が予想していたエース左腕の香川卓摩(2年)ではなく、右腕の中塚公晴(2年)だった。それでも、星稜は各打者が1巡目で中塚の球筋を把握し、2巡目には4長短打を集めていた。その後、五回から救援した香川にもしっかり対応。計11安打で7点を奪った。
昨季のチームは春夏の甲子園で頂点を狙える力を持ちながら、勝ち切れなかった。そのチームでも主力だった東海林は「まだまだ隙があると思う」と振り返る。「勝っておごるのではなく、もっと上を目指していきたい」。対応力の高さを見せて打ち勝った準決勝も、通過点だ。(小俣勇貴)