明治神宮野球大会は12日、東京・神宮球場で高校の部の準決勝があり、高松商(四国・香川)は星稜(北信越・石川)に4―7で敗れた。だが、出場校のなかでも屈指の投手力を持つ相手に、6点を追う九回に意地を見せた。
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打った本人にも信じられなかった。1死一、二塁、引っ張った鋭い打球が右翼手の頭上へ。「ライトフライかなと思った」と高松商の9番新居龍聖(2年)。全速力で二塁を蹴った後、ストップを指示する三塁コーチを見て捕られたと思い、いったん引き返したほどだった。実は「スピードを出しすぎて、前の走者を追い越すな」という指示だった。
土壇場で飛び出した3ランは、高校で初めての本塁打だった。「風にも助けられました」と謙遜しながら照れた。
4強まで勝ち進むなかで、捕手の新居が感じてきたのは「(龍谷大)平安さんをはじめ、他のチームはうちより打撃力が強い」。3年前にこの大会を制して選抜で準優勝した先輩たちのチームと比べても、「攻撃力で圧倒的に劣る」と認識している。
「この秋の打撃はみんなに不思議な力があっただけ。普段は打てないチーム。この冬は打撃を磨いていかないと」。全国の舞台で記憶に残る一発を打ったからこそ、その気持ちが強くなった。(小俣勇貴)