(3日、高校野球秋季四国地区大会準決勝 高松商10―4高知商)
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高松商(香川)が高知商を破り、決勝に進出。来春の選抜大会出場が有力になった。今秋の四国大会は、いずれも甲子園で優勝経験があり、かつて、四国の高校野球の象徴的存在として「四国四商(よんしょう)」(高松商、高知商、徳島商、松山商=愛媛)と呼ばれた4校のうち、松山商をのぞく3校が出場。春夏の甲子園通算出場回数は4校合わせると166回を数えるものの、一時は勢いを失っていた古豪の伝統を受け継いだ後輩たちが、再び輝きを取り戻そうとしている。
準々決勝で高知商が徳島商に競り勝ち、四商同士の対決となったこの日の準決勝。序盤は接戦だったが、1点リードの五回、高松商の打線が火を噴いた。高知商の継投のタイミングをつき、高めに浮いた球をここぞとばかりにたたいた。打者12人を送り、計8安打の猛攻で一気に7得点。終盤は高知商の粘りにあったが、逃げ切るには十分だった。
スタンドに駆けつけたファンからも大きな声援が送られた。勝利を収めた高松商のベンチには試合後、複数のファンが「よう打った」「明日も頑張れよ」と、入れ代わり立ち代わりスタンドのフェンス越しに声をかけにやってきた。長尾健司監督(48)は「四国四商は、僕が高校時代、むちゃくちゃ強かった伝統校。こうしてたくさんの方が応援に来て下さり、後押ししてもらえる」と話す。
伝統校のプライドは、選手たちにも受け継がれる。主将の飛倉(ひぐら)爽汰(2年)は、3年前に選抜大会で準優勝した同校にあこがれたという。「準優勝するのを見て、四国四商と言われた時代の強い高商(たかしょう)が戻ってきたと思った」。この日は計15安打で10点を挙げ、つながる打線を印象づけた同校だが、「こだわるのは守備」と飛倉は言う。「昔から高商は守りが良い。それが伝統だと思っている。守備からコツコツやって、四国で1番になりたい」と、決勝へ向けて意気込んだ。
明徳義塾(高知)、済美(愛媛)など、強豪私学が台頭する四国。秋の四国大会では、02年に徳島商が優勝した後は、12年間四国四商が決勝に進めなかった。
15年に優勝した高松商は、そのまま明治神宮大会で頂点に駆け上り、16年の選抜大会で準優勝を遂げた。高知商も今夏、高知大会決勝で明徳義塾を破って甲子園に出場し、3回戦に進んだ。
高松商の長尾監督は「背中にのしかかる重圧はすごいものがある。だが、楽しめたら天国。コツコツやるだけです」と話した。(高岡佐也子)