明治神宮大会高校の部は12日、準決勝で高松商(四国・香川)が星稜(北信越・石川)に4―7で敗れた。大会を制した2015年以来の決勝進出はならなかったが、全国の強豪と渡り合うためのヒントを地元に持ち帰り、選抜大会を見据える。
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大会屈指の右腕、星稜の奥川恭伸(2年)と向き合った高松商打線。バットを短く持ち、「甘い球を一発で仕留めよう」「バットに当てれば何かが起こる」と臨んだ。初球の甘い球を逃さずたたく。4番立岩知樹(2年)が一回に二塁打を放つなど、三回までに3安打。1点を挙げた。
だが、外角を丁寧につき、要所でギアを上げる投球に中盤以降は抑えられ、七回までに12三振と力負けした。
守備にもまずさが出た。三回には捕逸で1点を失い、四、八回に出た失策や暴投は、いずれも相手の得点につながった。
「横綱と幕下っていう感じの試合でしたね」。試合後、そう振り返った高松商の長尾健司監督の表情は、すがすがしくもあった。出場が確実視される来春の選抜大会を見据える中、大会屈指の投手と対戦できたことは大きな収穫ととらえる。「四国にあんなピッチャーはいない。選手たちも感じるものがあったと思う」
立岩は「走者を出す前はそれほどでもないけど、出してからスイッチが入ってすごかった。今まで対戦した投手の中で一番」と目を見張りながらも、手応えや課題もつかんだ。「ああいう投手を打つには、一発で仕留める、スイングスピードを上げる、目を慣らす、いろいろやっていきたいです」
主将の飛倉爽汰(2年)もまた、大きな刺激を受けた。「奥川君を見られたことで、意識すれば良い方向に向くと思う」と前を向いた。
追いつくための打開策はあると見る。長尾監督は「力で勝負をしようとしたら勝てない。ただ、野球って、そんなチームばかりが勝つわけではない。弱者の戦略をしっかり練って、みんなで一枚になれば互角に戦えるようになると思う」と大きくうなずいた。
神宮で感じた全国トップレベルとの距離。それを縮めるための、冬が始まる。(高岡佐也子)