(13日、明治神宮野球大会高校の部決勝 札幌大谷2―1星稜)
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札幌大谷のエース西原は、サインにほぼ首を振らなかった。「配球について(捕手の)飯田とは特に話もしていなかったです」。5年近くかけて築いてきた信頼が、バッテリーにあうんの呼吸を生んでいた。
左打者には逃げていくチェンジアップを。右打者には135キロ前後の直球を内角へ。「大胆に投げろ」という飯田のメッセージを胸に、西原は腕を振る。
飯田の言葉は、制球に自信を持てなかった西原の良さを引き出した。変化球は大きく動き、直球は厳しいコースへ。五回にスクイズで1点を失ったが、許した安打は1本だけ。星稜の林監督も「飯田君にうまく攻められた。相手が一枚上」と認めた。
創部10年目。北海道から初めて全国の舞台に挑んだ中高一貫校だ。中学には硬式チームがあり、ベンチ入り18人のうち10人が所属していた。学校全体で強化を進め、船尾監督は現在の2年生が中学生のころから見てきた。主将の飯田や西原は高校にあがる際、「全国で勝てるチームにしような」と誓い合った。
準決勝で八回まで無安打投球をした太田や、決勝の七回に逆転打を放った北本も「生え抜き」だ。「もう1段階も2段階も、みんなでレベルアップしてきたい」と西原。まもなく北海道に長い冬が訪れる。その先の春を、仲間とともに見据えている。(小俣勇貴)
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○船尾監督(札) 初出場優勝。「何が起きたのか分からない状況。すごいことをやってくれた。緊迫した試合のなかで泥臭くいこうと。そういうゲームができた」