原子力規制委員会は21日、関西電力美浜、大飯、高浜の3原発(いずれも福井県)の火山噴火による降灰量が想定より多かった可能性があるとして、3原発への影響を再評価することを決めた。運転中の4基の停止までは求めない見通し。規制委が新規制基準に適合すると認めた原発で、自然災害の影響評価のやり直しは異例だ。今後、具体的な方法などを決める。
関電は、地質調査や原発から約200キロ離れた大山(鳥取県)が噴火した場合のシミュレーションなどをもとに、3原発の敷地内での降灰の厚さを最大10センチ程度と想定。規制委は、噴火でも原発の安全機能は損なわれないとする関電の主張を妥当と判断し、これまでに大飯3、4号機と高浜3、4号機が再稼働した。
その後、一部の研究者から、大山からの距離が両原発とほぼ同じ京都市内の地層で、約8万年前に大山が噴火したときの火山灰層の厚さが30センチあったとの研究論文が発表された。規制委は、審査の前提が変わる可能性があるとみて関電に情報収集を求めた。
関電はこの火山灰層について、他の場所から流れてきた灰が混ざっていることなどを理由に挙げて、「厚さは評価できない」と主張。これに対し、規制委は現地調査をもとに火山灰層が25センチあると判断。3原発の想定より厚く積もる可能性があるとみて、再評価を求めることにした。
事故時などに使う非常用ディーゼル発電機が目詰まりなどを起こし、正常に動かなくなる恐れが考えられるという。関電は設備などの対策は10センチを大幅に超えても、余裕があるとしている。(小川裕介、川田俊男)