欧州連合(EU)は25日、臨時の首脳会議を開き、来年3月に英国がEUを離脱する条件を定めた協定などで正式合意した。EU史上、加盟国の離脱が正式に認められるのは初めてで、第2次大戦後に政治、経済的な統合を深めた欧州には大きな節目となる。今後の焦点は、合意案への強い不満が出ている英議会で承認できるかに移る。
EUと英国が合意したのは、離脱後も双方の市民に保障する権利などを定めた「離脱協定」と、通商など将来の関係の大枠を示した「政治宣言」。
離脱協定は、経済や市民生活の混乱を避けるため、英国が離脱後も2020年12月末までは実質的にEU内にとどまる「移行期間」についても規定した。最大で22年末まで延長できるとされ、双方で通商協定などを議論するのに使われる。
移行期間の議論の下地になる政治宣言は「野心的で幅広くバランスの取れた経済関係」の構築を目指し、EUと英国による関税なしの自由貿易圏創設やEUから英国への移民流入を制限することも想定している。
解決策が見いだせていないEU加盟国のアイルランドと、陸続きで接する英領北アイルランドの国境管理問題については、政治宣言で英側の意向を反映した。監視カメラなどの技術を駆使し、モノの移動をこれまで通り円滑に進めることを目指すとした。ただ、現時点でEUはこの手法の実現性を疑問視しており、今後の議論に委ねられる。
英国のメイ首相にとっては、今…