英国のメイ首相と欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長が21日、ブリュッセルで英国のEUからの離脱協定について協議した。将来の通商関係の大枠を示す「政治宣言」について首脳間での合意を目指していたが、24日に再度協議することになった。協定案にはEU側からも異議が出てきており、予定する25日の正式合意に不透明感が出ている。
あれから2年以上…英国のEU離脱、何をもめてるの?
「まだ問題はあるが、我々は双方の交渉官が解決できるよう、十分な指示を与えた」。会談を終えたメイ首相はこう強調した。英、EUは25日に開く臨時のEU首脳会議で離脱の条件を定めた協定と政治宣言について正式合意を目指している。メイ氏は政治宣言でEU側の譲歩を引き出すことで、国内の批判を抑えたい考えだが、21日は結論に至らなかった。
背景には、ここにきてEU側からも合意案に異議が出てきていることがあるとみられる。スペインは、領有権を主張する英領ジブラルタルの将来の扱いについて、EUではなく、スペインが英国と個別に協議できるよう合意案に明記することを要求。臨時首脳会議での合意への拒否も示唆している。
欧州委の報道官は「加盟国からは、多くの懸念も示されている」としている。ロイター通信によるとユンケル欧州委員長は22、23日に予定していた域内出張をキャンセルし、離脱交渉に注力するという。(ブリュッセル=津阪直樹)