27日午前9時10分ごろ、ソウル市瑞草(ソチョ)区の韓国大法院(最高裁)正門近くで、出勤してきた金命洙(キムミョンス)大法院長(最高裁長官)の車両に火炎瓶が投げつけられたと、瑞草警察署に通報があった。火炎瓶は車両にあたったが燃え上がらず、金院長にもけがはなかった。火炎瓶を投げつけた70代の男性1人を警備担当者らが取り押さえた。同署が動機などを調べている。
韓国メディアによれば、男性は自身が関与した訴訟結果に不満を持ち、数カ月前から大法院近くで抗議活動を続けていたという。
韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は、元徴用工の損害賠償訴訟を巡る大法院判決を遅延させたとして朴槿恵(パククネ)前政権時代の司法を追及。大法院関係者らに対する捜査が進んでいる。韓国与党も事件に関与した判事らの弾劾(だんがい)を検討している。今月19日に開かれた全国の裁判官代表会議でも関係判事の弾劾を求める声が上がるなど、司法界の混乱が続いていた。
金院長は文政権下で大法院長に就任した。10月30日、新日鉄住金に元徴用工への損害賠償を命じた判決の際には、賠償を支持する意見を述べていた。今月29日には、三菱重工業を相手取った元徴用工らの大法院判決が2件言い渡される予定だ。(ソウル=牧野愛博)