台湾で24日の統一地方選と同時に投票された住民投票で、蔡英文(ツァイインウェン)政権が進める脱原発政策や、検討していた同性婚の法制化、福島県産など日本の食品の輸入解禁にブレーキをかける提案が、賛成多数で成立した。与党民進党の惨敗で蔡氏は党主席を辞任したが、住民投票でもノーを突き付けられた格好だ。
脱原発をめぐる投票は、原発推進派が提案した。蔡政権が昨年、法律に盛り込んだ「2025年までに全ての原発を止める」という条文の削除に対する賛否を問うものだ。
結果は、削除に賛成が589万票、反対が401万票。賛成が反対を上回り、かつ有権者の4分の1(約494万人)を超えるという成立要件を満たした。昨年、台湾全土で大停電が起き、住民が電力不足に不安を抱いていることが反映されたとみられる。
今回の住民投票は計10件だった。投票実施を請求するのに必要な署名数のハードルを、蔡政権下で引き下げた結果、請求が相次いだ。成立要件も変更前は2分の1で、4分の1に引き下げなければ、脱原発の投票は成立しなかった。
法的に同性婚を認めることについて、蔡氏は総統選で支持を表明したが、与党内でも意見は割れる。住民投票では「民法の婚姻規定は男女に限る」「民法の婚姻規定以外の形式で同性の共同生活を保障する」がいずれも賛成多数で成立。一方で、「民法の婚姻規定で同性婚を保障する」は賛成少数で成立しなかった。
このほか、野党国民党が提案した「福島県など5県からの日本産食品の禁輸を続ける」は賛成多数で成立した。蔡政権は解禁を検討したが世論の反対で先送りになっており、輸入再開は当面、難しくなった。
また、「2020年東京五輪にこれまでの『中華台北(チャイニーズタイペイ)』ではなく『台湾』名義で参加申請する」とした提案は、賛成少数だった。(台北=西本秀)