未返還の奨学金をめぐり、日本学生支援機構が保証人に半額の支払い義務しかないことを伝えずに全額請求している問題で、文部科学省は27日、今年10月までに、機構が延べ31人の保証人に対し、減額を認めていたことを明らかにした。保証人からの主張を受けて、計約6千万円の請求額を半額にしたという。
参院文教科学委員会で松沢成文議員(希望)の質問に答えた。
民法では、複数の保証人がいれば、各保証人は等しい割合で義務を負うとされ、「分別の利益」と呼ばれる。連帯保証人に加えて保証人を立てる奨学金の場合、保証人の支払い義務は半額になるが、機構はそれを伝えないまま、2017年度までの8年間に延べ825人に総額13億円を全額請求していた。
柴山昌彦文部科学相は「法解釈上、分別の利益は保証人から主張すべきだ」とし、機構の対応に問題はないとの認識を示した。ただ、保証人が知らされないのは妥当でないとの指摘に理解を示し、「機構に丁寧な対応を促したい」と語った。機構が返還の誓約書や手引などで事前に説明することを検討しているという。
松沢議員が「保証人全員に、今まで取りすぎた分を返すぐらいの政治決断があっていい」と問うと、柴山文科相は「支払い済みの分は債務が消滅するため返す義務はない。奨学金は返還するのが筋で、(借りた)本人が(保証人からの)求償に応じるべきだ」との見解を示した。(諸永裕司)