文部科学省は23日、全国81大学の医学部医学科の入試を対象に実施している不正調査の中間報告を公表し、性別や浪人年数で合否判定に差をつけるなど、複数の大学で不適切な入試が行われた疑いがある事例を示した。柴山昌彦文科相は同日の会見で、「受験生が安心して受験できるよう公正な入試の実施を求める」と述べた。
複数の医学部で不適切入試か 文科相「自主的な公表を」
報告書によると、不適切である可能性が高い事案として、▽学力検査での得点が同等でも、女性や浪人回数が多い多浪生は面接試験でより高い評価を得ないと合格とならない▽調査書や出願時の書類を審査する際、現役生にだけ加点し、多浪生と差をつけている▽合格圏外の同窓生の子どもらを合格させている▽補欠合格者への繰り上げ合格の連絡を、総合得点の順番ではなく、より下位の特定の受験者へ連絡している、の4事例を示した。大学名は「不正の調査が継続中」などと明かさず、引き続き大学側の自主的な公表を求めるとした。
調査は、東京医科大で女子や多浪生が一律に不利な扱いを受けていたことが判明したことをきっかけに実施。文科省は、東京医科大を除く全80大学を訪問調査する方針で、年内に最終結果を公表する。
医学部入試をめぐっては、昭和大(東京)が15日、現役と1浪の受験生や同窓生の親族を優遇していたことを認め、謝罪している。関係者によると、順天堂大(同)は、女子が男子と比べて不利になるような合格基準を設定していた疑いが持たれているという。(矢島大輔)