多民族国家のマレーシアで、国連の人種差別撤廃条約の批准をめぐり、マレー系住民と他の民族との緊張が高まっている。批准によってマレー系への優遇を定めた「ブミプトラ政策」が廃止され、恩恵を他民族に奪われるとして、野党が民族間の対立をあおっているためだ。政府は批准見送りを発表したが、8日にはマレー系による大規模な抗議集会が予定されている。
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きっかけは、中華系やインド系の強い支持を得て政権交代を果たしたマハティール首相が9月に国連で演説し、同条約を批准する意向を明らかにしたことだった。10月には、マハティール氏の側近が来年の第1四半期にも批准すると発言したとも報じられた。
同条約は人種や民族などによる差別を禁じる内容で、ブミプトラ政策との矛盾が指摘されている。このため、マレー系でイスラム色の強い最大野党の統一マレー国民組織(UMNO)は猛反発し、政権批判を展開してきた。
人口の7割近くを占めるマレー系の反発に、政府は11月23日、条約の批准を取りやめると発表した。だが25~26日にはクアラルンプール近郊のセランゴール州でマレー系とインド系の衝突が発生。20台以上の車が放火され、30人以上が逮捕される事態になっている。
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