20日のニューヨーク株式市場は、世界経済の減速懸念や米金融引き締めへの警戒感から、大企業でつくるダウ工業株平均が大幅に続落。終値は前日比464・06ドル(1・99%)安い2万2859・60ドルで年初来安値を更新し、2017年10月以来の安値水準となった。下げ幅は一時、679ドルまで拡大した。外国為替市場では円高ドル安が急速に進み、円相場は一時、ほぼ3カ月ぶりに1ドル=110円台をつけた。原油先物価格は急落し、1バレル=45・88ドルと1年5カ月ぶりの安値に沈んだ。
世界的な景気減速への懸念が強まる中、米連邦準備制度理事会(FRB)は19日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、緩やかな利上げを続ける方針を決定。FRBのパウエル議長は金融引き締めにつながる資産圧縮も今のペースで進めると表明した。市場は金融引き締めにより慎重な姿勢を期待していたため、19日に引き続いて失望売りが優勢になった。
トランプ米大統領が、つなぎ予算案の署名を拒む方針を示し、連邦政府の一部機関が閉鎖される可能性が高まったことも、投資家心理を冷え込ませた。ダウ平均の下げ幅は、直近の5営業日で計1700ドルを超えた。
ハイテク株が多いナスダック市場の総合指数も大幅に続落。前日比108・42ポイント(1・63%)低い6528・41で取引を終えた。
投資家がリスクを避ける姿勢を強めたことなどで、ニューヨーク外国為替市場では、ドルを売って相対的に安全資産とみなされる円を買う動きが広がった。午後5時(日本時間21日午前7時)現在では1ドル=111円24~34銭で、前日同時刻より1円20銭の円高ドル安。
ニューヨーク商業取引所では、景気減速で原油在庫がだぶつくとの見方も相まって、原油価格の指標となる「米国産WTI原油」の先物価格が前日比で2・29ドル(4・8%)急落し、1バレル=45・88ドルで終えた。(ワシントン=江渕崇)