高額報酬問題などで所管官庁の経済産業省と対立し、民間出身の取締役9人全員が辞任を表明した国内最大の官民ファンド、産業革新投資機構(JIC)は20日に開いた取締役会で9人が28日付で辞任することを決め、発表した。
株式の9割超を国が握るJICの取締役は11人。会社法は3人以上の取締役を置くよう定めているため、子会社の官民ファンド「INCJ」の勝又幹英社長がJICの取締役を兼任する人事案も決めた。28日に臨時株主総会を開いて正式決定する。留任する経産、財務両省出身の取締役2人が代表権を持つ。
JICを巡っては、経産省が今月3日、年1億円を超す場合もある高額報酬規定を認めないと公表して対立が表面化。社長の田中正明氏ら9人は10日、残務を終えた後に辞任する意向を表明していた。経産省は今後、ファンドの専門家などでつくる諮問委員会でJICの運営や報酬のあり方を議論し、年度内をめどに田中氏の後任人事を決める方針だ。(久保智)