フィギュアスケートの全日本選手権最終日は24日、来年3月の世界選手権(さいたま市)の代表最終選考会を兼ねて、大阪・東和薬品ラクタブドームで男子フリーがあり、平昌(ピョンチャン)五輪銀メダルの宇野昌磨(トヨタ自動車)が1位となる187・04点をマークし、首位発進したショートプログラム(SP)との合計289・10点で3連覇を決め、来年3月の世界選手権(さいたま市)の出場を決めた。
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5年ぶりに全日本選手権に出場したSP2位の高橋大輔(関大ク)は、フリーで151・10点で合計239・62点で2位だった。6年ぶりの表彰台となったが、世界選手権は辞退した。世界選手権の代表は宇野と3位の田中刑事(倉敷芸術科学大大学院)に加え、右足首のけがで欠場した五輪2連覇の羽生結弦(ANA)が選ばれた。
22日のSPの6分間練習で足を痛めたそぶりを見せた宇野。フリーの演技後、実は22日朝の公式練習で右足首を捻挫したことを明かした。23日は公式練習に姿を見せなかったが「歩くことができなかったので、出場するかすごく迷った」と振り返った。
だがフリーに向けて「こうやって追い込まれた状況だからこそ、自分を信じることが出来たんじゃないか」と気持ちを切り替えた。予定構成を変更し、冒頭の4回転フリップは着氷したが、続く3回転サルコーと4回転トーループは着氷が乱れた。だが、中盤から後半にかけて立て直した。
4回転―2回転の2連続トーループ、トリプルアクセル(3回転半)、トリプルアクセルからの3連続ジャンプで出来栄え(GOE)でともに3点以上加点を得るなど、技術点は97・12点。演技構成点は5項目中4項目で9点台で、89・92点だった。演技を終えると、両拳を握りしめ、笑顔を見せた。
世界選手権に向け「けがは全治2週間くらいだと思う。しっかり治したい。世界大会でシルバーコレクターと皆さんに言って頂いて、満足できる2位、満足できない2位、たくさんあったと思うが、1位をなるべく目指して頑張りたい」と抱負を語った。
高橋は冒頭で4回転トーループに挑んだが、3回転に。「6分間練習ですごく良いジャンプが跳べたが、一番中途半端な形になってしまった」と振り返った。続くトリプルアクセル―2回転トーループは2・63点のGOE加点を得た。演技後半は疲れが出てジャンプにミスが出て技術点は63・60点だった。だが、演技構成点は5項目中2項目で9点台を得て全体2位の88・50点だった。
高橋は演技後「自分の演技を終えた時に、表彰台はないなと思っていたので、2位は驚いた」と振り返った。大会全体を振り返り「この緊張感の大きさが全日本選手権だなと思った。すごく充実した期間を過ごさしてもらった。試合をやるという喜びを感じつつ過ごせた」と語った。
今後の競技については「ますます自分のスケートというものをもっと上達させていきたいな、向上させていきたいなと思った。今シーズンを通じて『こんな自分に変われるんだ』と改めて気付かされた。スケートをやり続ける、人前で滑り続けたいという気持ちはより一層強くなったので、常に毎日準備をしておきたい」と話した。
平昌五輪代表でSP4位の田中は、157・13点を出し、合計236・45点の3位だった。
田中は冒頭の4回転サルコー―2回転トーループの2連続ジャンプを成功したが、続く4回転サルコーが2回転に。連続ジャンプで跳びすぎ違反もあり、技術点は76・47点。演技構成点は5項目中4項目で8点台で80・66点だった。演技後「冒頭の(4回転)サルコーは決まったが、もう1本はミスした」。スピンはレベル4を獲得し「練習でやってきたことが染みついてきたが、ここで満足していたら成長できない」と語った。
昨季世界選手権5位でショートプログラム(SP7位)の友野一希(同大)が154・37点。合計227・46点で4位。
友野は冒頭の4回転サルコー―2回転トーループを決めたものの、続く4回転サルコーで転倒した。後半もミスが出て技術点は78・23点。演技構成点は全て5項目全て7点台で77・14点だった。演技後「後半のアクセルジャンプが心配だったが、同じミスが出て悔しい。来シーズンに飛躍できるように、この結果を受け止めたい」と振り返った。
ジュニアグランプリ(GP)ファイナル銅メダルでSP3位の17歳、島田高志郎(木下グループ)は合計219・78点で総合5位だった。
全日本ジュニア選手権優勝の壺井達也(愛知・中京大中京高)は144・92点で、11位だったショートプログラム(SP)との合計214・87点で7位。
壺井は冒頭のトリプルアクセル(3回転半)で転倒したものの、続くジャンプで立て直して技術点は74・92点、演技構成点は71・00点だった。「ショートプログラム、フリーとも完璧からはほど遠い。世界ジュニア選手権に向けて、練習から集中して取り組みたい」と振り返った。
GPシリーズNHK杯6位の山本草太(中京大)が、大けがを負った2016年春以降、初めて4回転ジャンプを決めるなど、140・74点を出し、10位だったSPとの合計212・69点で9位。
15年の世界ジュニア選手権で3位に入り、次代の日本を背負う逸材と期待された山本だが、16年に右足首を骨折するなど、けがに悩まされた。それでも懸命なリハビリの成果が実り、冒頭の4回転トーループを成功。演技後半でミスが出たものの、技術点は68・40点。持ち前の伸びやかな滑りで、演技構成点は73・34点を出した。演技後「一つ一つのジャンプに集中してやろうと思った」。地元・大阪での試合で「声援はうれしかったし、力になった。もっともっと良い演技で恩返したい」と語った。
14歳の佐藤駿(埼玉栄中)は4回転ジャンプを決めるなど、140・06点を出し、16位だったSPとの合計で204・95点とし、12位。
五輪2連覇を達成した羽生結弦(ANA)と同じ仙台出身。羽生に憧れ、ジュニアの下のクラスのノービスの全日本選手権で4連覇を達成した経験もある。この日のフリーは、冒頭の4回転トーループは転倒したものの、続く4回転―2回転の2連続トーループや2本のトリプルアクセルを着氷するなど、技術点は80・70点を得た。演技構成点は60・36点だった。「冒頭のミスはあったが、他のジャンプは落ち着いて跳べた。練習の成果が出た。80点くらいの内容」と振り返った。
主な男子選手の滑走順は次の通り。
GPシリーズNHK杯6位の山本草太(中京大)14番(午後7時35分ごろ~)▽友野17番(同59分ごろ~)▽田中19番(午後8時23分ごろ~)▽鍵山優真(神奈川ク)20番(同31分ごろ~)▽宇野22番(同47分ごろ~)▽高橋23番(同55分ごろ~)▽島田24番(午後9時3分ごろ~)
男子最終成績
①宇野昌磨(トヨタ自動車)289・10点(SP〈1〉102・06点、フリー〈1〉187・04点)②高橋大輔(関大ク)239・62(〈2〉88・52、〈4〉151・10)③田中刑事(倉敷芸術科学大大学院)236・45(〈4〉79・32、〈2〉157・13)④友野一希(同大)227・46(〈7〉73・09、〈3〉154・37)⑤島田高志郎(木下グループ)219・78(〈3〉80・46、〈11〉139・32)⑥鍵山優真(神奈川ク)216・36(〈6〉74・51、〈6〉141・85)