ベトナム戦争中に米軍がまいた枯れ葉剤の影響とみられる結合双生児として生まれ、約30年前に日本の支援で分離手術を受けた「ベトちゃん、ドクちゃん」の弟、グエン・ドクさん(37)が6日、南部ホーチミンに日本風の飲食店をオープンさせた。
店名は「ドク ニホン(Duc Nihon)」。入り口に着物を着た女の子の絵があり、日本のうどんや、ベトナムの子牛の肉を使っためんなどが食べられる。店内では日本の健康食品や雑貨も販売する。
ドクさんは分離手術を支援した日本との縁を大切にし、これまで40回以上訪日して自身の体験を語ってきた。ベトナムまでドクさんに会いにくる日本人の訪問者や支援者が多いことから、こうした人たちと戦争や枯れ葉剤の影響などについて話し、交流する場を作りたいと考えていたという。
普段は妻のテュエンさん(36)が切り盛りし、病院の事務員をするドクさんは仕事帰りや催しなどの際に姿を見せる。店では枯れ葉剤の影響を受けたとみられる人の家族も働く。ドクさんは「わずかな額でも、売り上げを枯れ葉剤関係者の支援に生かせれば」と話している。(プノンペン=鈴木暁子)